(Sitthiphong/PIXTA)

グーグル、アップル、アマゾンという米国の巨大IT企業が今、次の有望市場として熱い視線を送るのが医療分野だ。医療データは活用の余地が大きく、金脈が眠る。グーグルは検索やAI(人工知能)、アップルはハードウェア、アマゾンはネット通販(EC)という本業でのノウハウや顧客基盤をテコに、新規事業を進めている。

取り組みが最も広範なのは、グーグルだ。2019年に新部門「グーグルヘルス」が設立され、社内の医療関連事業が集約された。数百人の医師や医療関係者を抱え、さながら医療のメガベンチャーのごとく、AIによる疾病の画像診断や、電子カルテの開発、新型コロナウイルスに関するデータベースの整備などを手がける。

「これらはすべて医師が求めていること。ソフトウェアやデータが医師の目、耳、脳の能力を拡張する」。感染症学が専門の医師でチーフ・ヘルス・オフィサー(最高医療健康責任者)を務めるカレン・デサルボ氏はそう話す。

グーグルと同じく持ち株会社アルファベットの傘下にあるのが、15年に設立されたデジタル医療を専業とするベリリーだ。医療機器の開発から、データを活用した治療法の考案、1万人規模の健康状態を追跡する臨床研究まで、事業はグーグル同様幅広い。

世界中の製薬会社と提携しているのも特徴で、仏サノフィとの合弁会社「オンデュオ」で糖尿病のデジタル治療を展開し、スイスのアルコンとは老眼用のスマートコンタクトレンズを開発中。日本企業では、独自のウェアラブル端末「スタディウォッチ」を活用して武田薬品工業とパーキンソン病の研究を行うほか、参天製薬と次世代眼科デバイスの開発を進める。