一橋大学大学院教授 佐藤主光(さとう・もとひろ)1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

新型コロナウイルスは終息の兆しを見せていない。東京都では連日400人超の新規感染者が報告されるほか、大阪や仙台をはじめ地方都市においても感染が拡大傾向にある。変異ウイルスも拡大しており、すでに「第4波」への警戒感が高まりつつある。雇用情勢も厳しい。

景気の低迷で休業を余儀なくされる労働者の雇用を守る制度が「雇用調整助成金」である。企業への助成率や1日1人当たりの支給上限額の引き上げといった特例措置もあり、コロナ禍での支給額は累計で3兆円を超える。コロナ前に約1.5兆円あった積立金の全額を取り崩しても不足し、一般会計から1.1兆円が支出された。さらに、本来は失業者のためのものである積立金からも借り入れを行った結果、雇用保険全体が逼迫するに至っている。

雇用調整助成金は非常時のセーフティーネットにはなるが、特例措置が長期化すると非効率な産業や企業を温存しかねないとの批判も少なくない。いずれにせよ、緊急事態宣言の解除に伴い、特例措置は段階的に縮小される見通しだ。