アダストリアの福田社長は「リアル店舗の存在意義が変わる」と語った(撮影:今井康一)
「グローバルワーク」や「ニコアンド」を筆頭に、幅広い世代に馴染みあるブランドを多数展開するアダストリア。「イオンモール」や「ららぽーと」などのSC(ショッピングセンター)を中心に国内約1300店舗を持つ、SC系アパレルの有力企業だ。
新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した2020年度は、店舗の客数が大きく減った一方、EC売り上げは約2割伸びた。館の臨時休業や客数減を契機に、多数の店舗販売員が自社サイトやSNSで新商品の着こなし画像の投稿を始めるようになったからだ。実際、自社サイトの売り上げ(国内売上高の約16%)のおよそ半分は販売員の投稿を経由したものだったという。
ECの存在感が一段と高まる中、実店舗の価値、そして販売員の役割はどう変わっていくのか。アダストリアの福田三千男会長兼社長に聞いた。

 

――コロナ禍で消費者の購買行動が大きく変わりました。

当社ではコロナ禍でウェブの売り上げが大きく伸びた。でも、その多くは実はリアル店舗のスタッフが(着こなし例の投稿などを通して)販売している。僕はこれを見て、今後はリアル店舗の存在意義そのものが変わると感じた。

ウェブの売り上げがどんなに増えてもリアル店舗がなくなることはない。ただ、ネットでも欲しい商品が買えるなら、わざわざ店舗に行かなくていいので、店舗では「来て良かった」「面白かった」と思ってもらう価値を提供しないといけない。

これからのリアル店舗は「そのブランドが何なのか」を発信する存在に変わる。

――実店舗の役割がこの局面で明確になる、と。

明確になったと思いますよ。今後は本当に必要な場所に必要な店舗しかいらなくなる。

これまでは(商業施設とアパレル企業の関係性から)お願いされたりお願いしたりして、店数を増やしてきた。気がついたら(当社も)毎年100店近く閉めているのに出店数が上回って、店数は増え続ける流れになっていた。

それにみんな(おかしいと)気が付き始めた。店を出せば出すほど在庫も残る。僕は今、新規の商業施設ができても出店しないことのほうが多い。必要な商業施設とは一体何なのかが、これから問われていく。

販売員の長時間労働が常態化