たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

筆者が参画する欧州エネルギー取引所にも上場する排出権(EU ETS)価格の上昇が止まらない。3月にはCO2(二酸化炭素)1トン当たり史上最高値の42.85ユーロまで上伸し、1年前にコロナショックで17ユーロを割り込んだ時点からみると2.5倍もの上昇である。

世界の排出権取引市場の時価総額は昨年時点で2290億ユーロ(約30兆円)で、2017年から5倍に拡大した。うち9割をEU(欧州連合)が占めており、今後中国などが排出権取引を始めることで時価総額はさらに拡大し、EUのシェアは下がると見込まれる。昨年時点で約10億ユーロ(約1300億円)の排出権がスポットで売買され、先物やオプション取引も増加している。

そもそも排出できる枠を売買するという発想は米国の発電所が排出する二酸化硫黄を抑える目的で始まった。それが02年に英国、05年にはEUでCO2の排出枠を売買する形へと進化した。今はEU域内で一定程度の規模を超えてCO2を排出する工場・事業所・施設などを対象に導入され、EU全体の排出量の約45%をカバーする。