成長著しいネット広告に押されるテレビ広告。その流れが変わるかもしれない(写真:iStock)

コロナ禍でテレビ広告は大きく落ち込んだ。従来テレビに広告を大量出稿していた「ナショナルクライアント」と呼ばれる自動車や化粧品、日用品などの大手ブランドが出稿を控えたためだ。

電通の広告統計「日本の広告費」によれば、2020年のテレビ広告費は1兆6559億円と前年比2.7%減となった。ネット広告費は同5.9%増の2兆2290億円。2019年に初めてネットがテレビを超えたが、その差は開くばかりである。

テレビ広告には構造的な課題もある。テレビではネット広告のように精緻なターゲティングが難しかった。視聴率調査は統計的に全国民をカバーできるよう、無作為に抽出された人にモニター調査を依頼するが、取得できるデータは性別や年齢、居住地域に限られていた。

調査手法も専用の機械で計測できる「機械式」がようやく2020年4月に全国に導入されたものの、従来は都市圏に限られ、地方はモニターに記入してもらう「日記式」が続いていた。どうしてもざっくりとした推計になってしまうため、広告主は消費者の行動データがとりやすいネット広告に流れた。

【2021年3月29日15時20分追記】初出時の表記を一部修正いたします。

テレビ広告にも強みはある

とはいえ、テレビ広告が“オワコン”かというとそうでもない。最近では動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」と比較されることも多いが、1つのコンテンツでリーチできる視聴者の数はいまだ圧倒的に大きい。

データ分析に基づく広告プランニングを手掛ける電通第2統合ソリューション局の北弘樹エグゼクティブ・ソリューション・ディレクターによれば、500万円の広告費で到達できる人数はユーチューブ(1人あたりの表示回数を4回までに制限)が400万人程度であるのに対し、テレビのスポット広告では1600万人になるという。

そんな中で、テレビの視聴率調査も変わりつつある。「マーケティング担当者の間ではパネルデータに注目が集まっている」と北氏は言う。パネルデータとは視聴率と同様に、無作為に抽出した人を対象にした調査で得られるデータのことだ。

視聴データとネットでの行動を結ぶ