早稲田大学商学学術院教授 井上 達彦(いのうえ・たつひこ)1968年生まれ、兵庫県出身。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)。早稲田大学商学部助教授などを経て2008年から現職。著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』『模倣の経営学』『ブラックスワンの経営学』など。(撮影:梅谷秀司)

日本ではまだあまり知られていない中国スタートアップ企業が、さまざまな業界で急成長している。例えば、EC(ネット通販)サービスの拼多多(ピンドゥオドゥオ)は共同購入とSNS(交流サイト)を組み合わせ、創設からわずか3年で利用者3億人を突破している。この拡大はアリババが運営するタオバオの2倍のスピードである。

急成長の理由については「市場規模が大きいからだ」という答えが返ってきそうだ。これは間違いではないが、単純にそれだけでもない。市場規模だけの問題であれば、ほかの国や地域でも急成長企業を見つけられるはずだ。しかし、中国のスタートアップ企業のように、群を成して急成長している事例はほかに見つけられない。

それゆえ、世界中の起業家、大企業の経営者、投資家、政策立案者たちが、中国のビジネスモデルの群生的な発展プロセスに注目し始めている。