若年層が楽しげな動画を上げる「リア充メディア」。そう考える人も多いだろうが、TikTokは大きく脱皮しつつある(編集部撮影)

「TikTokではやったものはTikTokの中で終わる」――。音楽関係者からそう指摘されてきたTikTokだが、最近は様相が一変している。多くの楽曲がTikTokを起点、もしくは経由してヒットにつながっているのだ。

新たな音楽ヒットの導火線となったのは、ショートムービープラットフォーム「TikTok」。2020年には、社会現象になった瑛人「香水」をはじめ、ヨルシカ、yama、Rin音、オレンジスパイニクラブ、優里など、数々の新人・若手アーティストがTikTokなどSNSでのヒットをきっかけに躍進し、ビルボードジャパンの年間ヒットチャート「Billboard Japan Hot 100」にランクイン。音楽シーンは一段と多様化が進んだ。

すでに、多くのアーティストがTikTokをプロモーションに活用し、レコード会社も新人発掘の場として目を光らせる。TikTokは音楽業界にとって重要なメディアへ変貌を遂げている。

「楽しげな動画じゃなくてもいいんだ!」

TikTokは2017年夏に日本へ上陸。音楽関連の動画では、2018年に「め組のひと」(倖田來未によるカバーで2010年発売)を使ったダンス動画がリバイバルで大流行したことがある。注目はされたが、音楽業界にインパクトをもたらすには至らなかった。

「2019年夏に変化の兆しが表れた」。そう分析するのはTikTok Japan音楽チーム シニアマネージャーの宮城太郎氏だ。indigo la Endの「夏夜のマジック」(2015年発売)がヒットしたのだ。ゆったりとしたテンポに乗せた切ない歌詞が特徴で、この曲を使った動画が「エモい」と人気になった。

普段は楽しげな動画を投稿するインフルエンサーたちがこの曲を使ったことで、「切ない気分の動画を上げてもいいんだ」というムードが醸成されていったという。夏夜のマジックはストリーミングサービスのLINE MUSICで上位にランクインするなど、TikTok外への影響もあった。

動画の種類も「自撮り」から多様化