日本郵便の衣川和秀社長(左)とかんぽ生命保険の千田哲也社長(右)がそれぞれビデオメッセージを発した(編集部撮影)

日本郵政グループで大量に発覚した生命保険商品の不適正募集。同社が信頼回復後の起死回生をかけて目指していた「総合的なコンサルティングサービス」戦略は本格展開を始めることもなく、終わりを迎えることとなった。

日本郵便の金融渉外社員による不適正募集が大量発覚した2019年6月以降、かんぽ生命保険の保険商品募集を受託する日本郵便は営業体制を抜本的に変革すべく、「総合コンサルティング」を標榜してきた。顧客ニーズをしっかり把握し、ニーズによっては他社の商品も進めることも辞さないという高い理想を掲げたものだった。

日本郵便の渉外社員は2020年に「コンサルタント」と肩書きを変え、1人のコンサルタントが顧客のさまざまなニーズに対応できるよう、新たな研修を1年以上続けてきた。

戦略変更は唐突に決まった

ところが2021年2月、大幅な戦略変更が唐突に決まった。(日本郵便社員である)コンサルタントは2022年4月にかんぽ生命へ兼務出向。同時に全国約1.4万人のコンサルタントは2021年10月以降、かんぽとアフラックの生命保険商品しか扱えなくなる。

今後は、損害保険商品や投資信託、貯金は郵便局の窓口社員(日本郵便社員)が担う。コンサルタントが生保以外のニーズを把握したら、窓口社員につなぐことになる。これをもって日本郵政は「これからはグループ一体での総合コンサルティングを目指す」と2月に宣言し、そのためにFP2級の資格取得を進めてきたコンサルタントにとって、大きな方向転換となる。

3月12日には、日本郵便の衣川和秀社長とかんぽ生命保険の千田哲也社長が日本郵便の社員向けにビデオメッセージを発した。

東洋経済が入手した動画によると、衣川社長はこの施策の趣旨として、「今後、生命保険において多様化が進む保障性マーケットへの取り組みを強化していくためには、社員の専門性を高め、お客様ニーズに応えていくことが必要」と説明。そのための方策として、「コンサルタントと内務事務社員を『保険専担』(保険販売専門の担当者)とし、日本郵便社員としての立場を残しつつ、かんぽ生命に兼務出向してもらうことを検討している」と述べた。

今までの取り組みは無駄にならない