衆議院の任期満了が近づいている。コロナ禍後の政治動向を占う意味でも目が離せないが、国政選挙のたびに話題に上るのが「一票の格差」問題だ。日本では、1994年に衆議院小選挙区制が導入されて以来、総選挙における選挙区間の有権者数最大比は約2.2倍で推移している。

選挙権の平等は民主主義の根幹を成す概念であり、日本では憲法第15条および第44条により保障されている。85年の最高裁判所判決のように選挙人資格だけではなく投票価値の平等をも要求する場合、2.2倍という数字は大きな格差に見える。しかし、難しいのは「投票価値の平等」の適切な実現方法だ。はたして有権者数の単純比は最適な指標といえるだろうか。

激しい論争と混乱を巻き起こした2020年の米大統領選挙では、いわゆるスイングステート(激戦州)における選挙人配分の組み合わせによって選挙結果が左右されたため、ペンシルベニア州(選挙人数20人)、ジョージア州(同16人)など各州の開票が進むにつれて多くの有権者が一喜一憂した。カリフォルニア州の55人を最多として、最少の3人(アラスカ州など)まで選挙人の配分は州によって大きく異なる。

各州の選挙人の配分は、合衆国憲法第2条によってその州の連邦上院議員と連邦下院議員の合計数と同数に定められている。下院議員は原則的に人口に比例して配分される。一方、上院議員は州の大きさにかかわらず各州2人であるため、人口の大きな州ほど1人当たり選挙人数は少なくなる。18年時点の選挙年齢人口は最多のカリフォルニア州で約3000万人、最少のワイオミング州で約44万人だった。人口比が約70倍の一方で選挙人数は約18倍(55÷3)なので、有権者当たりの選挙人数には約3.8倍の差がある。