きうち・たかひで 1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

長期金利の上昇にどう対応するかが、主要中央銀行にとって大きな課題となってきた。長期金利上昇の震源地は米国である。10年国債の金利は年初には1%を切っていたが、3月には一時1.6%台にまで上昇した。

米国経済がコロナショックから立ち直り改善を続けていく、また物価上昇率も先行き高まっていくとの観測が、背景にあるだろう。バイデン政権による1.9兆ドル(200兆円超)規模の巨額の経済対策も、そうした観測を高めている。

金融市場の物価上昇率見通しを反映するとされる5年物の物価連動債から算出されるブレークイーブンインフレ率は、3月に入ってFRB(米連邦準備制度理事会)の2%の物価目標を上回る2.5%まで上昇した。これは実に、リーマンショック(グローバル金融危機)が生じた2008年以来の高い水準だ。