起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男(大西康之 著/東洋経済新報社/2000円+税/476ページ)
[Profile] おおにし・やすゆき ジャーナリスト。1965年生まれ。愛知県出身。88年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、『日経ビジネス』編集委員などを経て2016年4月に独立。著書多数。

本書はさまざまな読み方ができる多面的なビジネス書である。江副浩正という希代の経営者の波乱に富んだ人生をつづった伝記として、戦後のわが国の企業がたどってきた経営史として、そしてリクルートという会社の特異なビジネスモデルの研究書として読むことができる。

江副は非常に人見知りをする性格で、創業社長にありがちないわゆる「親分肌」ではなかった。それが逆に功を奏し、自分より優秀な人間にどんどん仕事を任せることで、社内に「経営者」を増やしていった。

リクルートの精神的支柱である社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」が、これを端的に表している。カリスマの「リーダーシップ」に取って代わるのは、社員の「モチベーション」だったのである。