東日本大震災から間もなく10年を迎える3月9日、政府は「復興の基本方針」を閣議決定した。そこには東京電力ホールディングスの福島第一原子力発電所事故に関して、「被災者に寄り添った適切な賠償が行われるよう、東電を指導する」「必要に応じて(賠償についての国の)指針等の見直しに関する検討を行う」と明記されている。

しかし、ここ数年間に相次いで出された裁判所の判決内容への東電の対応を見ると、被害者に真摯に向き合う姿勢が欠如していると感じざるをえない。

2020年3月、仙台高等裁判所は原発事故で故郷(ふるさと)を追われた住民による訴訟の判決で、従前の避難生活の継続による慰謝料とは別に、国が定めた指針に明記されていない「故郷喪失慰謝料」や「故郷変容慰謝料」の支払いを東電に命じた。