やすだ・みねとし 1982年生まれ。立命館大学文学部卒業、広島大学大学院文学研究科博士 前期課程修了。中国を軸に東アジアが専門領域。『八九六四』で城山三郎賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『和僑』『移民 棄民 遺民』『現代中国の秘密結社』など著書多数。(撮影:今井康一)
「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本
「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本(安田峰俊 著/角川書店/1800円+税/260ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
ベトナム人技能実習生の実習先からの逃亡は以前から知られていたが、最近はコロナ禍で仕事を失った彼ら彼女らによる農畜産物の窃盗など犯罪が目立つ。多数が逃亡するような労働環境の日本をなぜ目指すのか。ベトナムで実習生の故郷を訪ね、埼玉では豚が解体された不法滞在者のアパートに上がり込み、背景を探った。

──すごいタイトルですね。

日本政府が来てほしいのは「若くて高学歴、高年収、日本語が流暢でイノベーティブ」な高度外国人材。もっとも、これに該当する外国人はごく少数。調理など技術を理由に滞在する人も含め、2019年末の在留外国人数293万人の1割強にすぎない。一方、若さ以外は正反対の条件の人を“低度”外国人材とすると、制度上の問題が多い技能実習生だけで1割強、偽装も交じる留学生を加えると25%。こちらは在留期限付きです。

──国は居続けられると困る。在留数では中国人が断トツですが、実習生の過半はベトナム人です。

薄給でも単純労働を目的に来日する外国人から中国人はすでに外れていて、ベトナム人が代替している。ベトナムは中国より人件費が安く、工場進出に当たり、同じ共産党一党支配の中国での手法を応用しやすかったため、現地で日本の存在感が増したのが1つの要因だろう。ベトナムも労働力輸出を志向し、需給が一致しています。