「百貨店は『三十貨店』として生き残る」 インタビュー/学習院大学教授 伊藤元重

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「百貨店は時代に合わせてビジネスモデルを変えられる」と述べた学習院大学の伊藤元重教授(撮影:田所千代美)

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2020年は山形県と徳島県で百貨店が閉店し、1つの県に百貨店が存在しない「空白県」が生じた年となった。百貨店業界はこのまま時代の変化の波にのみ込まれていくのか。国際経済学などを専門としながら、『百貨店の進化』(2019年 日本経済新聞出版社)を執筆するなど、百貨店業界を長年ウォッチしてきた学習院大学の伊藤元重教授に今後の展望を聞いた。

 

――コロナ禍による在宅勤務の普及や外出自粛で、消費者の行動が大きく変わりつつあります。大型駅に隣接したターミナル型の百貨店がとくに大きな影響を受けています。

今はコロナの影響で外出を控え、都心にある百貨店へ買い物に出掛ける人が減っている。人が大都市に集まりにくくなってくると、ビジネスモデルを変えていかなきゃいけない可能性も出てくるが、そこはまだ読み切れない。

この10年ぐらいで見ると、都市型の大型百貨店の売り上げはあまり落ちていない。百貨店が持っているパイ(市場)がだんだん小さくなる中、百貨店は全体としてサイズ(売り場面積)を調整しながら生き残ってきた。人口30万人以下の地方の百貨店は消滅していったが、東京とか大阪とか大都市の百貨店はしっかり残っている。

問題は、この先のいろいろな構造調整。コロナだけでなく、ネットでの購入がもっと普及してくる。国内から百貨店がなくなるかなくならないかということではなく、小売業全体のパイの中で、どれぐらいのパーセンテージで生き残っていくのかという問題だろう。

――大都市にある百貨店に比べて、地方都市の百貨店の状況はより深刻です。

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