カルビー、「在宅勤務」でみえた期待と不安 リモート下における人事評価の難しさ

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リモートワークの定着、週休3日制、オフィス不要論・・・。これからの働き方、働く場はどう変わっていくのか。先進事例からそのヒントを探していく。

カルビーでは東京本社などオフィスに勤務する社員約800人が在宅勤務の対象となっている(写真:カルビー)

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「電話するほどではないことを話す場をつくる意味は大きい」――。

スナック菓子メーカー大手、カルビーのマーケティング本部で「じゃがりこ」の商品企画を担う松井淳氏は、在宅勤務下でのコミュニケーションについてそう語る。

松井氏が所属する部署では週に2日ほど約40分間オンラインツールを繋ぎっぱなしにし、「皆が同じ部屋にいるような雰囲気で」自由に質問をしながら業務を行っている。飲食店やスーパーなど現場での情報収集は減ったものの、多くのアイデアをつねに共有することで、新たな商品開発の可能性が広がっているという。

感染拡大前から在宅勤務に移行

新型コロナウイルスの感染拡大によって、オフィス勤務者はこれまでと異なる働き方を強いられている。カルビーでも東京本社などオフィスに勤務する社員約800人が在宅勤務の対象となっている。

新型コロナを機に在宅勤務制度を初めて整えたという企業も少なくない中、カルビーの対応はとにかく早かった。「2020年2月中旬からスムーズに在宅勤務に移行できた」と振り返るのは、人事総務本部でD&I・スマートワーク推進室室長を担う石井信江氏。2月中旬といえば国内における新型コロナの感染者の大半が横浜港で検疫中のクルーズ船の乗客だったころで、1度目の緊急事態宣言が出るおよそ2カ月も前だ。

さらに国内でも感染が広がった3月下旬以降は、オフィス勤務者が原則在宅勤務となった。在宅勤務により通勤時間が減った事で、時間の有効活用ができるというメリットが社員に認知されたからだ。

緊急事態宣言が解除され感染者数が一時的に落ち着いた6月には、在宅勤務をベースとした「Calbee New Workstyle」という新たな働き方を策定し、7月から実行に移した。コロナ禍への対応として行ってきたリモートワークなどの働き方を、コロナ後を見据えて無期限に延長した。

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