ヒトはなぜ自殺するのか 死に向かう心の科学(ジェシー・ベリング 著/鈴木光太郎 訳/化学同人/2700円+税/372ページ)書影をクリックするとamazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Jesse Bering 1975年米国生まれ。著書に『ヒトはなぜ神を信じるのか』『性倒錯者』などがある。現在、ニュージーランドのオタゴ大学サイエンス・コミュニケーション・センターで所長を務める。

テーマがテーマだけに、気分が落ち込んでいるときに読むべき本ではないだろう。しかし、気持ちが落ち着いているときに、自殺というテーマに関する知識を得ておくことは、いつの日かあなた自身やあなたの周りの大切な人を救うことになるかもしれない。そんなワクチンのような役割を果たす一冊である。

著者のジェシー・べリングは、前作『性倒錯者』と同様に、自分自身の実体験をカミングアウトすることから本書を始める。自分のセクシュアリティに悩んでいたときのこと、学者として燃え尽き症候群になったときのこと。失業して家の近くの森で自殺の想念にとらわれたときのこと。

そんな主観的なプロローグから話は一気に客観の世界へ飛び、著者は「ヒトはなぜ自殺するのか」というシンプルな問いに、ヒトの心の進化という観点から挑んでいく。