最近、日本のロシア報道の質が著しく低下している。ロシアが発する対日関係改善のシグナルを読み取れていない。とりわけロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長の発言に関し、ロシアが北方領土交渉を拒否する姿勢を示したという誤った解釈がなされている。なぜ日本との関係改善に向けたクレムリン(ロシア大統領府)のメッセージが正しく伝わらないかを考察してみたい。

日本経済新聞の報道を見てみよう。〈【モスクワ=石川陽平】ロシア外務省報道官のザハロワ情報局長は18日、動画投稿サイト「ユーチューブ」のインタビュー番組で、日ロ間の懸案である北方領土問題について、領土割譲を禁じる憲法の新たな条項を念頭に「いかなる形であれ、このテーマを協議することさえできない。憲法があるからだ」と語った。ロシア外務省内で領土引き渡しに反対する強硬論が広がっていることをうかがわせた〉(2月19日付日本経済新聞夕刊)。ほかの新聞社や通信社の報道もほぼ同様だ。

この動画はロシアテレビ(国営)が作成した番組が、ユーチューブに投稿されたものだ。筆者はこの動画(https://youtu.be/CyS9ivRavG8)を注意深く見た。全体で1時間40分、テーマは「ヨーロッパとの訣別」だ。親プーチン派で愛国主義的主張をすることで人気があるジャーナリストのアントン・クラソフスキー氏が、ザハロワ局長にロシア外交の姿勢を厳しくただすという構成だ。ロシアの反政権活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏が拘束されて以降、いっそう悪化しているロシアとヨーロッパの関係に焦点を合わせた番組だ。日本に関する言及は39分目から51分目までの12分間だ。