(くり坊/PIXTA)

「これは、ゾンビ企業ですね。このままでは生き残るのは厳しい」。倒産が噂される外食企業の決算書を目にしたメガバンクの銀行員は瞬時にそう答えた。

この会社の売り上げはコロナ禍で大幅に落ち込んでいる。にもかかわらず固定費は高いまま。当然、大赤字だ。

損失を吸収できる体力があれば問題はないが、この会社はそこにも疑問符がつくという。「資産がないから、売却して資金をつくることはできない。多額ののれんもあり、減損が出れば純資産が吹き飛ぶ」(銀行員)からだ。

この銀行員が見抜いたのはそれだけではない。決算書から「取引先が逃げているのもわかる」というのだ。見ていたのは、キャッシュフロー(CF)計算書。売掛金が増え、買掛金が減っている。この会社の経営が危ないとみた仕入れ先から「払いたくないし、早く払えと言われているのだろう」(銀行員)というのだ。

銀行員たちは日々、融資先企業の状況を決算書や財務情報から分析、異変がないかウォッチしている。そこで、金融のプロたちがどこに注目しているのかを徹底的に取材。倒産しそうな企業が発する危険なシグナルについて解説していくことにする。

自己資本と現預金

まず見ておかなければいけないのは、「自己資本」だ。

負債が多く資金繰りが厳しい企業は、自己資本が薄くなるからだ。ひとたび自己資本がマイナスとなって債務超過に陥れば、銀行や取引先は逃げ、倒産の危険性が増す。

一般的に自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は30〜40%あることが望ましいとされ、10%を切ると危険とされる。