有料会員限定

海警法は尖閣奪取の布石か 「武力行使」と「執行管轄権行使」の差異とは

✎ 1〜 ✎ 295 ✎ 296 ✎ 297 ✎ 最新
拡大
縮小

海警法の制定には、領土紛争のある海域での法執行を正当化する狙いがある。

中国海警局は尖閣諸島周辺で活発な活動を続けている(写真は太平洋上の巡視船、2016年撮影)(海上保安庁/AFP/アフロ)

中国の「海警法」が2月1日に施行された。国際社会では、この法律を日本の尖閣諸島を奪取する際の法的根拠にするのではないかという疑念が高まっている。

中国が尖閣諸島を諦めることはない。「やるかやらないか」ではなく、「いつやるか」の問題だ。それでも、海警法の制定によって中国がすぐに尖閣諸島を実力で奪取できるわけではない。

軍艦または公船が武器を使用した場合、その行為が国連憲章に反する武力行使に当たるかどうかは国際法に照らして判断される。ただし、その判断を難しくするのは、国際法において、「武力行使」と「執行管轄権の行使」の境界があいまいである点だ。

武力行使の主体が軍隊であるか、警察や沿岸警備隊などの法執行機関であるかは決定的要素ではない。国によっては海軍が警察機能を担うことがあり、国連海洋法条約も公船とともに軍艦に対して海上警察権の行使を認めている。

海軍であろうと法執行機関であろうと、武器の使用は武力行使とも執行管轄権の行使とも判断されうるのだ。一方で、民間船舶に対する措置であってもつねに法執行と位置づけられるわけではない。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内