(xiangtao/PIXTA)

私たちの体は、ストレスを感じれば、脳から腸に信号が届くと一般的に知られている。ストレスや不安から、腹痛を伴う便通異常が生じる過敏性腸症候群などはその典型だ。しかし最近の研究では、腸の状態が脳の活動にも影響を及ぼすことがわかっている。

監修 東京都済生会中央病院 消化器内科部長 中澤 敦 先生

脳と腸が互いに影響を及ぼし合うことを「脳腸相関」と呼ぶが、過敏性腸症候群も、脳で感じるストレスだけでなく、腸内環境の異常によって腸から脳への信号伝達に異常が生じていると見なされるようになった。腸が病原菌に感染すれば、脳では不安感が増すといった報告もある。病原菌だけでなく腸内細菌のバランスの乱れも脳に影響を与えるとみられ、特定の腸内細菌が少ない子どもは、行動異常や自閉症などになりやすいという研究結果もある。

腸の状態は日々の暮らしの質や生産性にも影響する。便秘の人は快便の人に比べて生活の質(QOL)や生産性が下がることが明らかになっている。腸によって私たちのコンディションは大きく左右されているのだ。

そもそも腸内には、1000~3000種、約100兆個もの腸内細菌がすんでいる。合わせると重さにして1~2キログラムに達し、1つの臓器といってもいい。

腸内細菌は「善玉菌」と「悪玉菌」、そのどちらでもない「日和見菌」の3種類に分かれる。善玉菌は、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などが代表的。悪玉菌は病原性大腸菌やウェルシュ菌などが該当する。