ささき・とおる 2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

新型コロナウイルスの新規感染者の増加ペースが世界的に鈍化し始めた中、世界の金融資本市場は活況を呈している。米国やドイツの主要株価指数は過去最高値を更新し、日経平均株価もついに1990年8月以来30年6カ月ぶりに3万円台に乗せた。社債の対国債スプレッドも縮小を続け、過去3カ月間で原油価格は約60%、銅価格は約20%急騰している。

今回の新型コロナ感染拡大に対する、各国政府・金融当局の対応は過去に例を見ない大胆なものとなった。こうした対応の背景には、2008〜09年に発生した世界金融危機(リーマンショック)の教訓もあるのだろう。イエレン米財務長官は、こうした大胆な行動を取ることによる「恩恵がコストを上回ると確信している」と述べている。

この場合、「コスト」とは財政赤字の拡大、景気過熱によるインフレ率上昇を意味すると考えられる。そしてその「コスト」が「恩恵」を上回らないと「確信」できるのは過去の経験則があるからであろう。以前は財政赤字を膨らませることは長期金利を急騰させるリスクが高いとして、各国政府は慎重であったが、中央銀行が国債を大量に購入することが普通の金融政策となっている現在ではそれを心配する必要がないように見える。