顔認証システムは中国で広く普及している。顔認証の機能を備えたコンビ二エンスストアのレジ(毎日新聞社/アフロ)

中国で広く普及している顔認証システムの使用を、規制する動きが出てきた。本人に断りなしの撮影や、個人情報の安易な取得・保管に対して批判が強まり、当局が動かざるをえなくなった形だ。

その背景にはプライバシー意識の高まりがある。

中国では、スピーディーな本人確認手法としてスマートフォンによる顔認証が普及している。プライバシーの公開には比較的寛容な土壌があり、顔認証をはじめとする生体情報(虹彩や静脈、指紋なども含む)の活用に、これまで大きな異論が出ることはなかった。

しかし、ここへ来て市民から異議を唱える声が上がり始めた。

2019年10月、浙江省杭州市で「野生動物園の入園時に顔認証を事実上強制されたのは、個人情報の不法な取得と漏洩に当たる」として市民が動物園を訴えた。20年10月の判決で裁判所は原告の訴えをほぼ認め、取得された本人の情報取り消しと入園料や交通費の返還などを命じた。この事件は原告が事の顚末をネットで発信したため注目を集め、生体認証に対する世論の関心を高めた。