大阪大学大学院 経済学研究科教授 延岡健太郎(のべおか・けんたろう)1959年生まれ、広島県出身。81年に大阪大学工学部精密工業科卒業後、マツダ入社。米マサチューセッツ工科大学にて93年Ph.D. (経営学)取得。神戸大学経済経営研究所教授、一橋大学イノベーション研究センター教授などを経て2018年10月から現職。著書に『価値づくり経営の論理』など。

企業は株主価値や利益ではなく、社会的責任を優先すべきだとする論調が近年強まっている。この傾向がコロナ禍の前に始まっていたのは、社会にとってわずかな幸運といえるだろう。

国連開発計画は2015年にSDGs(持続可能な開発目標)として、17の領域を提言した。貧困、健康、環境など世界規模の危機的な問題への取り組みである。

19年には米大企業のCEO(最高経営責任者)200人近くで構成されるビジネスラウンドテーブルが、利益最優先の経営目標を取り下げた。企業は株主利益ではなく「すべての利害関係者(顧客、従業員、取引先、地域社会、株主)」に貢献すると宣言したのだ。