風力発電 数字急増のからくり 統計方法の変更があった可能性も

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中国のエネルギー政策を所管する国家能源局は1月20日、2020年に国内で新増設された風力発電設備の容量が7167万キロワットに達したと発表した。これは19年の2.78倍に相当し、過去3年間の新増設容量の累計をも上回る。

この数字の背景には特殊事情があるとみられている。というのも、20年1~11月の風力発電設備の新増設は2462万キロワットだった。つまり、12月だけで1~11月の累計の2倍近い4705万キロワットが新増設されたことになるからだ。

ある国有電力会社の幹部によれば、電力業界内では20年の風力発電設備の新増設を4000万キロワット前後と予測していた。国家能源局の発表は「驚くべき数字」であり、背景には「政府の補助金削減前の駆け込み工事があった」とこの幹部はみる。それだけではない。同幹部は、統計方法の変更があった可能性も示唆した。例えば、設備の一部しか送電網に接続していなかった場合でも、「統計上はすべての設備を送電網に接続済みとしたのかもしれない」という。

中国政府は中国の二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに減少に転じさせ、60年までに排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するという新たな目標を20年に打ち出した。このために30年時点の風力発電と太陽光発電の設備容量を合計12億キロワット以上に引き上げることを目指している。

(財新記者:陳雪婉、原文の配信は1月21日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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