堕ちたバンカー 國重惇史の告白(児玉 博 著/小学館/1800円+税/322ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] こだま・ひろし 1959年生まれ。大学卒業後、フリーランスとして取材、執筆活動を行う。2016年、第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞。著書に『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』など。

大阪の中堅商社イトマンから数千億円ともいわれるバブルマネーが裏社会に流れ込んだ「イトマン事件」。2016年のベストセラー『住友銀行秘史』は、四半世紀を経てその内実を明らかにした。

イトマン事件をめぐり、バブル紳士の暗躍を描いた作品は少なくなかったが、同書は当事の経営幹部の姿を実名で詳述し、銀行組織の暗部に光を当てたため金融業界に衝撃が走った。著者で、当時住銀の部長だった國重惇史氏がイトマン社員を装い関係各所に内部告発文を送りつける光景など、「秘史」の名にふさわしい緊迫感に満ちた一冊だった。

あれから4年強。本書で、國重氏は描かれる立場になった。『秘史』を執筆した頃はすでに銀行を離れ、楽天副会長の職も女性問題で辞任していたが、彼を取り巻く環境はさらに厳しさを増している。