東京芸大美術学部の校門前

ビジネスの場で、美意識や感性を基にした新しい発想「デザイン思考」「アート思考」が注目され、企業がクリエーティブ職以外でも美術大学・芸術大学生に注目するようになっている。名門美大、芸大の学生たちは、今どんな進路を歩んでいるのだろうか。

国内唯一の国立総合芸大・東京芸術大学は、「日本で入学が難しい大学の1つ」といわれている。驚くのが入試倍率の高さだ。2020年度の倍率を見ると、絵画科16.8倍、デザイン科14倍と、全国の国立大学の平均倍率(3.9倍)と比べると圧倒的に高い。同大は美術学部と音楽学部の2学部計14学科で構成され、美術学部は現代美術家の日比野克彦氏や村上隆氏ら著名人を輩出してきた。

20年春の美術学部の卒業生212人のうち、約半分が大学院に進学し、全体の2割に当たる34人が就職の道を選んだ。就職先を見ると、コクヨや乃村工藝社、任天堂、ポケモン、DeNA、朝日生命保険など幅広い。同大は学生の就職を支援するために、19年にキャリア支援室を開設している。

私立の有名美大の1つ、武蔵野美術大学では就職を希望する学生の就職率が9割ほどと高い。学生の就職活動を支援する学生支援グループキャリアセンターの小峯英史氏は、「21年春は新型コロナの影響で採用を見合わせた企業もありマイナスは少なからずある。ただ、業績が好調なゲーム制作会社、情報系、ウェブデザイン、メーカーなどの求人件数は変わらない」と、全体としては大きな変化はないとみる。