コロナ以前、マスコミが宣伝する企画展には多くの人が集まっていた(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

新型コロナウイルスの猛威が、美術館(博物館も含む)の経営に影を落としている。感染が拡大した2020年の2月末以降、ほとんどの美術館・博物館が6月初旬まで一時休館した。再開後は、混雑が予想される国立の美術館・博物館の企画展を中心に、日時指定制が導入された。今年1月に緊急事態宣言が再び出ると、夜間開館の中止をはじめとして影響が広がっている。

だがコロナ前は、美術館に大量の人が押し寄せるのも珍しくはなかった。人気の高い伊藤若冲やフェルメールの企画展なら、最終日が近づくと2〜3時間待ちはザラで、1日当たり1万〜1万5000人を入場させていた。

筆者は昨年5月に上梓した『美術展の不都合な真実』(新潮新書)で、大量の客を動員するこうした“ブロックバスター展”を批判した。そして、美術館がその所蔵品を常設展できちんと見せる「本来の姿」に戻るべきだと訴えた。ただ、本音では実現が難しいだろうとも思っていた。それがコロナ禍で状況は一変。1時間当たり最大200人程度しか入れられない日時指定制では、1日の入場者数は多くて2000人だ。これまでのビジネスモデルはすっかり成り立たなくなった。

マスコミ依存の美術展

ここでまず、ブロックバスター展のビジネスモデルを簡単に解説しておこう。これは、新聞社やテレビ局などのマスコミと美術館との共催による展覧会で、規模、動員数ともに大きい超大型展を指す。展覧会の企画はマスコミ側が美術館に持ち込むことが多い。展示したい作品を館外から借りてくる場合、マスコミ側が輸送・展示、保険、券売、もぎり、監視などの会場運営費に加え、海外から借りる場合の大半は億単位の作品借料をも支払う。そして、展覧会収入のうち、常設展入場料ほどの金額を美術館に支払い、残りを自らの収入とする。