あいだ・まこと 1965年新潟県生まれ。89年東京芸術大学美術学部絵画油画専攻、91年同大大学院修了。性や死、政治問題まで幅広いテーマで制作。森美術館で「天才でごめんなさい」展(2012〜13年)。近著に『げいさい』。(Courtesy of Mizuma Art Gallery)

美少女、サラリーマン、戦争、政治──。多様な題材と表現手法で世の中を風刺してきた現代美術家・会田誠。美術界の奇才は、アートを取り巻くビジネスをどう見ているのだろうか。

──会田さんはどのような立ち位置の現代美術家ですか。

現代アートの作家は、大きく2種類に分けられる。1つが、アート市場を主戦場としている人々。日本人作家でいえば、ニューヨークのギャラリーに所属している村上隆さんなどはその典型だ。

その対極にあるのが、例えば「ソーシャリー・エンゲージド・アート」というジャンルに属する作家。自分の絵画や彫刻を市場で売るというよりは、市民と一緒にワークショップを開いて社会変革をもたらそうとする作家だ。ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展といった著名な芸術祭に選出されれば、それなりにアーティストフィーがもらえる。お金儲けのために大切な制作時間を使わず、社会的に意義のあることをしよう、というのが彼らのスタンスだ。

僕がどちら側の人間かというと、コマーシャルギャラリーに属しているという意味ではアート市場側の作家だ。とはいえ、ここにどっぷりつかっていたいとは思わず、ビエンナーレ的な美術とのつながりもある。

──芸術に価値をつけて売買するアート市場。作家にとって善と悪、どちらの存在なのですか。