もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

1月9日号の当欄でも株価を取り上げた。その後、世界的に株価の上昇は続き、先月下旬には米ビデオゲーム小売企業の株価急騰をめぐって、FRB(米連邦準備制度理事会)議長が記者会見で質問を受ける事態にまで至った。中央銀行のトップが「株式バブル」について何らかの回答を求められる事態ともなれば、市場投機が金融政策に及ぼす影響についても考える必要が出てくる。

そもそも、「株価の上昇」それ自体は一般的に経済の「ポジティブな側面」と見なされる一方で、「バブル」は「悪」であると受け取られるのは、株価の変動がファンダメンタルズにフィードバックするメカニズムが存在するからである。代表的なフィードバック経路としては、企業の投資や家計の消費支出への影響があり、長期的には年金財政への影響といったものもある。

これらの経路において、株価の上昇は基本的に経済にとって「善」であり、中銀としてはこれを抑制する理由はない。どの国の中銀も、通常は「インフレ安定」と「金融システムの安定」という2つを目的に運営されているが、現在のようにディスインフレ的な状況では、株価の上昇はこれら2つを同時に達成させる特効薬の面もある。