2度目の緊急事態宣言によって、日本はコロナの脅威を回避できるか。公衆衛生の専門家である渋谷健司・キングス・カレッジ・ロンドン教授に話を聞いた。

しぶや・けんじ 東京大学医学部卒業。米ハーバード大学公衆衛生学博士号取得。東大医学系研究科教授などを経て、現在、英キングス・カレッジ・ロンドン教授。

──日本独自のクラスター対策について、限界があると渋谷教授は昨年3月時点から指摘していました。

感染対策の原則は早期探知・早期対応であり、そのためには検査と隔離の拡充が必須だ。クラスター対策は、症状のある集団感染が発生してから後追いの形で対応をする。「感染者の80%はほかの人に感染させない」という初期のデータを基に、クラスターにならなければ放置してよいとした。しかし、発症した段階でその感染者がクラスター発生の原因になるかどうかわからない。だからこそ、早期探知・早期対応のための検査を行う必要があった。

クラスター対策は、山火事の消火と同じだ。大きな山火事を防ぐには、ボヤの時点で消す必要がある。とくに、無症状感染を通して市中感染が広がり、ボヤが至る所で起こっている状況では、効果が限定的なのは当然だ。それどころか、追跡調査は保健所の大きな負担になっている。今でもクラスター対策に固執するのは疑問だ。