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苦境の菅氏が想定する後継シナリオ 現状では政権浮揚につながる好材料はない

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ねじれ国会の悪夢を避けるため、「選挙の顔」を変えて衆参院選に臨むことを決断か。

参院予算委員会で立憲民主党議員の質問に答える菅義偉首相(毎日新聞社/アフロ)

与野党攻防の主戦場となる今通常国会の衆参議院予算委員会で一問一答形式による首相答弁に不安があると、筆者は繰り返し書いてきた。

案の定、1月25日の衆議院予算委員会で菅義偉首相は手元に置いた答弁書に目を落とすことが多かった。翌日の日本経済新聞は「首相答弁、目立つ『読み上げ』 閣僚任せや明言回避」の見出しを掲げて報じた。菅氏の名誉に関わることなので事実を記しておく。NHKの国会中継を見る限り、翌日26日の首相答弁は舌鋒鋭い立憲民主党の辻元清美副代表の質問に対して、準備された想定問答集なしで答弁した。

それはともかく、菅内閣支持率の急落が際立っている。朝日新聞調査(1月23~24日実施)によると、支持率33%(前回比6%ポイント減)、不支持率45%(同10%ポイント増)と、支持、不支持が逆転した。新型コロナウイルスをめぐる政府の対応を「評価しない」が7%ポイント増の63%に達した。

現状では政権浮揚につながる好材料はない。かつて池田勇人首相は困難に直面すると、心配する側近に「山より大きな猪は出ぬ」と言った。当時、首相事務秘書官だった宮澤喜一氏は後に首相となり、このフレーズを多用して番記者をけむに巻いた。だが、1993年6月に宮澤内閣不信任決議案が衆院本会議で可決され、自民党は総選挙に敗れて野に下った。

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