国内の公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。その運用資産は2020年9月末時点で172兆円に及び、年金基金としては世界最大級だ。国連の責任投資原則に15年に署名し、国内のESG投資をリードしてきた。投資戦略を担当する塩村賢史氏に気候変動対応の考え方を聞いた。

GPIF投資戦略部次長 塩村賢史(しおむら・けんじ)2001年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。大和証券を経て16年GPIF入職。投資戦略部で投資戦略立案やESG指数の選定を担当。

──世界的な脱炭素の潮流をどうみていますか。

われわれは年金財政にどう貢献するかという観点で、長期的リターンを獲得するための重要な要素の1つとしてESGを考慮した投資を行っている。投資スパンとする50年、100年先を見据えれば、気候変動リスクが増大していくのは間違いない。脱炭素へ向けた世界的な政策強化によって企業評価でもESGの要素が強まり、株式投資を委託する運用会社の投資行動も加速度的に変化するだろう。

──ESG投資にはどのように取り組んでいますか。

委託先の運用会社には、企業との対話や議決権行使を通じてESGを考慮した投資を行ってほしいとお願いしている。広い意味でいえば株式の全運用資産がESGを考慮しているが、実際の投資という意味では20年3月末時点で国内外5つのESG指数に基づくパッシブ運用で計5.7兆円、同12月に2指数で1.3兆円を追加投資した。例えば、炭素効率性の高い企業の比重を高めたカーボン・エフィシェント指数などをベースに運用している。投資成果を見ながら中長期的にも増やしていく方向だ。いいものがあれば、アクティブ運用を採用する可能性もある。

──現時点でESG投資の成果はどうですか。