慶應義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

今年も春闘の時期が近づいてきた。今年は、新型コロナウイルスの影響を本格的に考慮する必要があり、「コロナ春闘」と呼ぶことができるだろう。

月例賃金についての連合の目標は、2%の賃上げに加え、企業規模間、雇用形態間(正規・非正規)の格差是正だ。後者は過去、継続的に掲げられており、闘争方針の重要な柱を形成している。

他方、経団連は1月に「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表した。そこでは、コロナ禍による経営悪化のため、業種横並びや各社一律の賃上げは「現実的ではない」とし、企業業績の内容に応じてベア(ベースアップ)などの賃金交渉の方針を変える選択肢を初めて明文化した。このように企業間の格差是正については、両者の認識に隔たりがある。