アリババが果物の流通をデジタル化 産地の近くに大型の物流倉庫を建設

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家庭の食卓に上る果物は流通過程での損耗が大きい。産地で収穫された果物のうち消費者の口に入るのは3分の1だけで、3分の1は選別ではねられ、3分の1は(売れ残るなどして)廃棄されるという。

そんな中、ネット通販最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が、デジタル化による果物の流通革命に乗り出した。産地の近くに大型の物流倉庫を建設し、選別作業などを効率化して損耗を減らすもくろみだ。

アリババのデジタル農業事業部のトップを務める李少華氏は、「2020年は中国国内に5カ所の物流倉庫を建設した。21年も3~5カ所を建設する計画だ」と明らかにした。

李氏によれば、建設した5カ所の物流倉庫の所在地は雲南省昆明市、広西チワン族自治区南寧市、陝西(せんせい)省西安市、山東省淄博(しはく)市、四川省成都市。今後さらに新疆ウイグル自治区、河北省などでの建設を目指すという。

昆明市で計画している物流倉庫は総面積1万500平方メートル、自動選別装置の導入で1日100トンの果物を選別できる。雲南省各地で収穫された新鮮な果物を外観、重量、糖度によってきめ細かく選別することで付加価値を高め、素早く箱詰めして全国各地に出荷する。

アリババは20年に傘下のECを通じて総額20億~30億元(約320億~480億円)の農産物を産地から直接買い付けた。今後これを10倍に拡大する計画だ。

(財新記者:黄姝倫、原文の配信は12月22日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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