たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

年明けの電力市場は未曽有の混乱に陥った。JEPX(日本卸電力取引所)の直物卸電力価格は、再生可能エネルギーによる供給過剰とコロナ禍による需要低迷で長らく1キロワット時当たり5円前後で推移してきた。これが200円超に跳ね上がるという前代未聞の事態となったのである。

電力という商品は貯蔵が利かない特性から、需要量に合わせて発電量を時々刻々調整する必要がある。需要が急増し供給が不足する場合には需要が抑制されるまで価格が上がり続け、最悪の場合には停電が起きる。

今回の事態にはいくつかの要因がある。まずは年末から日本列島を含む北東アジア全域を襲った寒波である。コロナ禍で産業需要は抑制されたが家庭の暖房需要は増加した。加えて再エネによる供給が夏場は機能するが、冬場は不安定になる。