米ジョージア州に建設したLNGプラント。2020年8月に商業運転を始めた(写真:IHI)

民間航空機向けエンジンが稼ぎ頭のIHI。かつては営業利益の約6割を稼ぎ出した航空部門が2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で急減速、340億円の部門赤字に転落する見通しだ。ただ、エネルギー関連などその他の部門が堅調を維持し、経費削減などの効果もあって全社では200億円の黒字を確保する。

航空機エンジンのビジネスは、航空機の飛行距離に応じて行うメンテナンスが主な収益源だ。ところが、国際航空運送協会(IATA)によると、世界の航空旅客の需要が19年の水準まで回復するのは24年以降。それまでは我慢の時が続く。

長期的に見て課題を抱えているのは、航空部門以外だ。エネルギーでは火力発電用ボイラーを手がける。産業システムでは自動車向けの車両過給機の売り上げ規模が大きい。これらはいずれも脱炭素化で急速な市場縮小が見込まれ、事業変革を迫られるのは必至だ。

そこで力を入れているのがアンモニアや水素を燃料にした発電設備の開発だ。とくにアンモニアでは他社と比べて積極的な開発姿勢が目立つ。すでに石炭火力ボイラーに20%のアンモニアを混ぜる混焼試験に成功した。ガスタービンでも液化天然ガス(LNG)に50%のアンモニアを混焼する実証試験を始めた。水素発電でも北九州市響灘で、再生可能エネルギーから水素を製造、輸送、使用する実証試験に取り組む。