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火力発電に脱炭素の逆風 稼ぎ頭も戦略見直し対象に

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世界トップのガスタービン技術をテコに水素シフト進めるが、洋上風力は心もとない。

三菱パワー高砂工場の巨大実証施設。水素発電の開発もここが拠点に(写真:三菱パワー)

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兵庫県高砂市の三菱パワー高砂工場。高さ42メートルの防音壁に守られた巨大な実証プラントが2020年7月、運転を開始した。ここで動かしているのは火力発電向けガスタービン「JAC形」の実証機だ。出力は56.6万キロワットで世界最大級を誇る。

最新鋭の監視システムを備え、発電効率も世界最高水準だ。地域の電力網に接続した状態で、実際の発電所と同じ運用を行いながら新開発技術の信頼性を検証する。同社が「世界中ほかに例を見ない」と胸を張る施設だ。今後、拡大を見込む水素燃焼型のガスタービン開発でも、この実証機から得られた知見を活用する予定だ。

新型機の開発状況や市況の変化によって大きく業績が振れる航空機関連と違い、火力発電事業は三菱重工の事業の中でも安定して稼ぎを生み出す「大黒柱」的存在だ。足元でも新型コロナの影響により若干の工事遅延が見られたものの、受注は回復傾向だという。

出力10万キロワット以上の大型ガスタービンでは、技術的ハードルが高いことから三菱重工と独シーメンス、米GEの3社による寡占状態が定着しており、環境は悪くない。民間調査会社の分析によると20年後半のガスタービン世界シェア1位は三菱重工が獲得した。

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