同じ長崎県の大島造船所への売却を決めた長崎造船所香焼工場(写真:三菱重工)

これまで「スペースジェット」の開発に向けて、1兆円もの巨額資金が投じられてきたにもかかわらず、三菱重工の財務基盤は驚くほど健全だ。

2020年3月期末のD/Eレシオ(資本に対する負債の倍率を表す)は0.46倍に抑えており、財務の健全性の目安とされる1倍を大きく下回る。有利子負債残高も5982億円と過去最低水準だ。

三菱重工のような重厚長大型の企業は巨大な設備を多く持ち、製品リードタイムも長い。さらに多数の事業会社と生産拠点が複雑に入り乱れており、もともと資産の効率性はよくない。そこで製造拠点ごとに分かれていた調達を一本化してコスト削減を実行。業務プロセスなどを細かく見直すことで、仕入れから販売に伴う現金回収までに必要な日数(キャッシュ・コンバージョン・サイクル、CCC)や運転資本を圧縮してきた。

これらが少ないほど、事業のために投下した資本が短期間で回収できていることを示す。15年3月末に1兆838億円だった運転資本は2547億円に、CCCは115日から24日に減った。