日立は顧客に、モノよりも、ルマーダでどういうサービスを提供できるかを提案している

10年前、三菱重工との統合構想が破談した日立製作所。その前後から事業ポートフォリオを大きく見直してきた。旧来型の製造業から脱却し、サービス中心の高収益企業へ変身しつつある。

推進役は、あらゆるモノをインターネットにつなげる独自のIoT基盤「ルマーダ」だ。

ルマーダとは「イルミネート・データ」(データに光を照らす)に由来する造語。その名のとおり、データを成長の種と見据えている。当初は誰にも理解してもらえず、「これ、何ですか?」「宗教ですか?」と社内外から揶揄された。だが、ルマーダ関連の売上高は今では1兆円を超え、2021年度には1.4兆円を目指せるまでに成長。30万人を超えるグループ社員が「レッツ! ルマーダ」の掛け声の下に一致団結する。

かつて日立は事業領域が広い一方、それぞれの事業が特定顧客の受注生産に頼り、横の連携がないサイロ(縦割り構造)になっていた。それを打破しようと、16年に社長の東原敏昭がルマーダという旗印を掲げた。

日立は創業以来、制御・運用技術(OT)に強みを持ち、そこから多くのデータを蓄積していた。一方でITなどの情報システムも50年以上の歴史がある。東原は「OTとITとプロダクトをすべて持っているのは世界でも日立くらいだ」と強調する。OTなど現場のリアルと、ビッグデータを分析するIT。連携が不足していたそれらをつなぐ共通基盤として立ち上げたのがルマーダだ。

IT部門でルマーダ推進の現場リーダーを務めるアプリケーションサービス第1本部本部長の高木順一朗(46)は、「社内の多くの部署から問い合わせがある。今は誰もがまずルマーダで考える発想ができている。ワン日立になってきた」と変化を実感する。

標準化で横展開