週刊東洋経済 2021年1/16号
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「今日もヘトヘトです。予約がひっきりなしに入っていて、残業をしながら接客しています」。都内で新築マンションを販売する営業員は、疲れながらも満足げな表情を見せる。

この状況を誰が予想できただろうか。緊急事態宣言発出前後の2020年4月、住宅業界は未曽有の事態に見舞われた。多くのデベロッパーがモデルルームや仲介店舗の閉鎖を余儀なくされ、現地での内見もはばかられるなど住宅の販売が困難な状況に追い込まれた。

不動産経済研究所によれば、同月の首都圏新築マンション供給戸数は686戸と過去最少を記録した。中古の成約件数もマンションが前年同月比52.6%減、戸建てが41.5%減に縮小。市場の「凍結」を目の当たりにした業界は、住宅不況の到来に身構えた。

ところが、業界の懸念はいい意味で裏切られた。営業を本格的に再開した7月以降、販売がⅤ字回復を果たしたのだ。「夏枯れ」と呼ばれる8月でも勢いは衰えず、にぎわいは現在も続いている。

20年11月に三井不動産レジデンシャルが発売したタワーマンション「パークタワー勝どき」(東京・中央区)は、販売住戸237戸に対して約650件もの申し込みが入った。中でも1億2890万円の住戸には、27倍もの購入希望者が殺到した。

コロナ禍でも都心の高級タワーマンションの販売は好調だ(撮影:梅谷秀司)

購入者の背中を押したのは、「巣ごもり」の中でたまった自宅への不満だ。日がな一日自宅にこもっていると、広い部屋や便利な住宅設備が欲しくなる。学校が休校になり暇を持て余した子どもが自宅で遊ぶ中、騒音や振動が近所迷惑にならないかも気がかりだ。グーグルでは、緊急事態宣言発出前後から「書斎」や「騒音」の検索数が急増した。

戸建ても在庫減少