積水ハウス|売るのは家でなく「暮らし」

2020年9月、積水ハウスは茨城県古河市にある住まいづくりのテーマパーク「関東 住まいの夢工場」内に、ライフスタイル型のモデルハウスを7棟完成させ、「7stories」として開業した。

1棟ごとに子育て家族「小林さんち」、アクティブシニア「山本さんち」など、7つの架空の家族を設定した。家の中でミニシアターが楽しめる「バル」や「フィットネス部屋」など、具体的な「暮らし」を見せることで、商品を売り込みやすくなり、販売単価のアップにつなげる狙いがある。

「7stories」の総合プロデューサーである積水ハウス住生活研究所の太田聡部長は、「営業では耐震性など技術面のアピールをしがちだが、それでは他社との違いが伝わりにくい。暮らしの提案は課題だったが、7storiesでは、リアリティーをもって暮らし方を見せることができる」と胸を張る。

自宅の建て直しを検討するため夢工場を訪れた東京・板橋区の男性は、「当初、建て替えには乗り気ではなかったが、夢工場に来てがぜん火がついた。お酒が飲めるライブラリーを設けたり、屋上で星を見たりと夢が膨らむ」と話す。

夢工場は完全予約制で、各地の営業員が顧客を招き、成約に結び付ける「クロージング」の場としても活用されている。実際、ここを訪れる顧客の4~5割が成約に結び付いているという。

夢工場で目玉商品として提案されているのが、「内藤さんち」や「小林さんち」に導入されている「ファミリースイート」。要は部屋の壁を取り払った20畳以上の巨大なリビングだ。

40畳のリビングの実現には丈夫なはりも天井に必要(写真上)。和風の「バル」も装備(下)

「われわれが『LDK』と書いて生活を規定するのは、実はおこがましいこと」と話すのは、住生活研究所の河崎由美子所長。「子どもの成長からみても、必要なのは子ども部屋ではなく居所。子どもの7割がリビングで勉強しているというデータもある。家族のつながりを重視した空間がどんなものか考えたら、自由に使える大空間という結論に至った」という。