出前館の藤井英雄社長は「トップラインがあがればあがるだけ、成長投資に資金を回す」と語る(撮影:尾形文繁)
新型コロナ禍で需要が急増しているフードデリバリー業界にあって、日本最大のフードデリバリーポータルサイトを運営する出前館。2020年3月にはLINEと資本業務提携契約を結び、2012年以降、現場の陣頭指揮を執ってきた中村利江社長が2020年6月に退任することになった。
新社長に就いたのは、出前館の同業「LINEデリマ」を展開するLINEのO2OカンパニーCEOを務めた藤井英雄氏。出前館には2017年11月から社外取締役として関わってきた。
UberEatsをはじめとする競合他社とのシェア争いが熾烈を極める中、どんな成長シナリオを描くのか。藤井社長に聞いた。

向こう3年間は市場拡大が続く

――出前館のトップに就いてみて、どんな印象を抱きましたか。

第一印象は『すごい会社』。古くからのデリバリートップ企業で、ヤフーや楽天の追撃を振り払っての業界1位。しかもシェアの差は僅差ではない。

株主と直接向き合う上場会社の社長はLINEの子会社の社長とはまったく違う。先日(2020年11月26日)、株主総会が終わったが、高い経営計画数値へのプレッシャーも感じているし、株主をどうフォローアップしていくか、(経営の)方向性にどうやって納得してもらうか。経営者としてコミットしていく責任の重さは上場会社ならでは、と思う。

――2021年8月期の業績予想は、売上高が280億円と前期比170%増の計画なのに対し、営業利益は130億円(2020年8月期実績は26億円の赤字)の赤字見通しです。2018年10月策定の中期経営計画では、大胆な成長投資を行い、2021年8月期には50億円の営業利益を達成する計画でした。巨額の成長投資はいつまで続けるのでしょうか。

この10カ月で、20年間かけて獲得してきた数を超える加盟店を獲得できた。このペースを維持できれば、(2021年8月期の)売上高(目標)は十分達成可能だ。

市場が拡大している間は成長投資をやめるべきではないと考えている。デリバリー市場には中食からも需要が流れ込んできていて、市場全体がハイペースの成長を続けている。ライバルも伸びているが、出前館も伸びている。市場が拡大している間はライバルがいたほうがいい。パイの食い合いになっているのなら不毛感もあるだろうが、今はそうではない。

デリバリー普及で先行した各国の状況を見ても、市場拡大の余地が十分あるのは明らか。アメリカですらまだ二桁成長が続いている。日本はまだ圧倒的に普及率が低い。少なくとも向こう3年間は成長が続くと思う。