「私としたことが……。お恥ずかしい限りです。でも当時は、あの男の言葉を信じ込んでしまっていたんです」

後悔の念を語るのは大阪・心斎橋にある老舗食品会社の社長。

「資産が何倍にも殖える」という甘い言葉に踊らされ、この3年間で5000万円以上をだまし取られた。

歴史ある会社を切り盛りしてきたはずの社長が、なぜ安直な投資話に乗ってしまったのか。

きっかけは4年前。「事業資金と合わせて子や孫に遺(のこ)す資産を殖やしたい」と考えていた社長は、有望な投資先を探していた。

そんなとき、インターネット上で知ったのが、仮想通貨の世界で「キング・オブ・コイン」ともてはやされていた男だった。彼が開くセミナーはいつも大盛況、全国に教え子もいるという、ある種のカリスマだ。

当時は仮想通貨ブームが巻き起こり、ビットコインやイーサリアムの後を追う形で、次々に新しい仮想通貨が生み出されていた。カリスマは、熱い語り口で「たった60日で資産が1.5倍に」「超一流の上流案件だ」などと訴え、新しい仮想通貨への投資を勧めた。