やすはら・ひろのぶ 1951年生まれ。同志社大学卒業後、75年ワコール(現ワコールHD)入社。2005年執行役員、11年事業会社ワコール社長などを経て18年6月から現職。中国子会社代表として駐在した経験も。(撮影:梅谷秀司)
百貨店や量販店に多数の売り場を構える下着メーカー国内最大手のワコールホールディングス。コロナ禍で客数が激減し、2020年度は創業以来初の最終赤字を見込む。アパレルの店舗撤退やリストラが相次ぐ中、下着の名門はどう経営を立て直すのか。安原弘展社長に聞いた。

2022〜23年度中の総人件費比率の目標

事業会社ワコールでは店舗の売り上げ低下で製造人件費を含んだ人件費比率が30%超に。配置転換や採用抑制で引き下げを急ぐ。

──コロナ禍で店舗の売り上げが大きく落ちています。

買い物や外食に出ても、まだ多くの人が心のどこかで「後ろめたさ」を感じている。これがなくならない限り積極的な消費は戻らない。外出が減り、「装い」に対する支出の優先順位も下がっている。

とはいえ女性が「家にいるから着心地の楽な下着だけでよい」「(巣ごもりで)太ったからどうでもいい」と、自身の身体に無頓着になったわけではない。多くの女性はサイズの変化への意識をしっかり持っているはずだ。身体を支える下着のニーズは確実にある。

店舗に行く人が減った分、ECは伸びている。若い人だけでなく、どの世代もECで買うようになった。新型コロナウイルス感染拡大が収束しても、(ECを日常的に利用するなど)コロナ禍で根付いた生活習慣はある程度残るだろう。重点戦略に掲げてきたデジタルシフトはさらに進めていきたい。