ウェバー社長は、負債削減のため資産売却を進める(撮影:今井康一)

武田薬品工業によるアイルランド製薬大手・シャイアーの買収。6.2兆円をかけた日本企業史上最大のM&Aが19年1月に完了してから、およそ2年。買収前に6911億円だった純有利子負債は、買収後の19年3月末には5兆円超にまで膨張した。収益と負債のバランスは大きく悪化し、格付け会社ムーディーズは武田の格付けを3段階引き下げた。

この2年間、武田は買収の代償として膨らんだ負債の圧縮を進めてきた。シャイアーが欧州で販売していたドライアイ治療薬「シードラ」を最大およそ5500億円で売却。中東やロシア、ラテンアメリカで販売していた医薬品や、注力領域から外れている医薬品、つまり、非中核資産の売却を急ピッチで進めてきた。

非中核資産売却の総仕上げとしているのが、消費者が処方箋なしで購入できる大衆薬事業を展開する武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)だった。同社は、栄養ドリンクの「アリナミン」や感冒薬の「ベンザ」などのロングセラーブランドを数多く擁する。今年8月に、米投資ファンドのブラックストーングループに約2400億円で売却することを発表した。

武田がTCHCの売却を考えているのではないかという観測は、16年にTCHCが武田本体から分社化された時点からすでに出ていた。当初、武田は「一般消費者にとっての武田ブランドの認知度のためにも売却することはない」と説明していたが、徐々に「本業の医療用医薬品と相乗効果のない事業はノンコア事業に位置づけられる」と、売却を否定しないスタンスに変わっていった。

売却先候補として大正製薬ホールディングスも有力視されていたが、最終的には、「TCHCの雇用をいかに守れるかという視点でブラックストーンに軍配が上がった」(関係者)。

1+1が2にならない