週刊東洋経済 2020年12/19号
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厳しさ増す製薬業界
MRの受難

「今の半分になってもおかしくないかもしれない」。大手製薬会社のあるMR(医薬情報担当者)は危機感を覚えている。

「MR白書」によると、2019年度のMR数は5万7158人と、18年度に比べて2700人余り減った。ピークだった13年度からはおよそ1万人減っていて、6年連続で減少が続いている。しかも減少スピードは年々上昇。19年度の減少幅は過去最大となった。

MR(Medical Representative)は、担当の病院やクリニックに足しげく通い、自社製品を使ってもらうために医師や薬剤師に営業をかけるのが仕事だ。第一三共や武田薬品工業といった国内大手クラスだと2000人以上のMRを抱えており、単体従業員の3分1以上を占めている。

MRはかなりの高収入職種だ。大手であれば40歳で年収1000万円超えは当たり前。福利厚生も充実している。しかし、製薬会社は営業部門の人員が負担になり始めている。

それが如実になったのが、20年度の第2四半期決算だ。前年同期比の国内売上高は、武田が5%減、第一三共が4%減、アステラス製薬が21%減と、総崩れの状況だ。海外事業を含めれば好調に見える会社であっても、国内の売り上げは厳しい。

むろん、今年3月以降の新型コロナ禍という特殊事情を考慮する必要はある。だが医薬品ビジネスは、そもそもコロナの影響を受けづらい業種だ。中でも、大手製薬会社が扱う医薬品は、命に直結するものが多く、患者にとってはいわば必需品。コロナ禍で患者が医療機関に通う回数を減らしても、1回ごとの処方量を増やして使い続けることが多い。

強まる薬価引き下げ圧力