たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

今年ほど世界情勢が目まぐるしく変化しマネーの潮流が激変した年はない。筆者は今年前半には米ワシントンでロビー活動に従事し、後半には東京で電力エネルギー市場から世の中を観察してきた。今回はそんな筆者の目に映ったマネーの変化を分析・整理する。読者の今後の事業・投資戦略の一助になれば幸いである。

振り返ると、年初2月ごろまで米国は経済も株価も楽観の頂点にあった。現職のトランプ大統領の再選はほぼ確実視されていた。しかし3月に入って楽観ムードは一変する。それ以降の動きは読者もご存じのとおり。3月に急落したマーケットは11月には完全復活を果たしトランプ大統領はバイデン候補に敗北。市場分析にフォーカスすると、急落から急騰への原動力となったのは世界中で創出された金利のつかないコロナ緩和マネー以外の何物でもなかった。

とくに市場が急騰した11月だけで株式ETF(上場投資信託)に流入したマネーは世界中で8.5兆円に達し、年初からの流入額は20兆円の大台に乗った。ワクチン実用化、来年の景気持ち直しへの期待感、米国政治の不透明感の後退などの要因がリスクオンに作用した。