「プアホワイト」と呼ばれる高卒以下の白人労働者が大統領選の結果を左右した(The New York Times/Redux/アフロ)

今年の米大統領選挙で勝敗の決め手となったのは、やはり中西部のラストベルト(さび付いた工業地帯)であった。2016年の同選挙では、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンのラストベルト3州をわずか計約7万票の差で民主党から奪って、共和党のトランプ候補が当選した。今回は、民主党のバイデン候補が、やはり僅差で3州を奪い返した。

これら3州で注目されてきたのは、いわゆるプアホワイト、学歴が高卒以下の白人労働者である。かつて米経済の大黒柱だった五大湖沿岸の製造業が廃れ、苦境に置かれている。彼らは、自分たちの納めた税金が無駄に使われたり、連邦政府が生活信条に介入したりするのを嫌う(「小さな政府」論)一方で、年金や医療で政府にもっと面倒を見てもらいたい(「大きな政府」論)とも思っている。

矛盾した訴えは苦境の反映であり、2大政党の間で揺れている。今回の選挙ではわずかに民主党側に振れて、バイデン氏に3州での勝利をもたらした。次回どうなるかはわからない。苦境から救済されるまでは、米政治を揺さぶる「台風の目」のような存在であり、トランプ現象のような過激な事態を何度でも引き起こしかねない。