グローバルファンドの國井修氏は「感染症対策として産学官民の連携や協力が必要」と訴える(写真:梅谷秀司)
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の戦略・投資・効果局長で、『人類vs感染症 新型コロナ 世界はどう闘っているのか』の著者でもある國井修氏へのインタビュー2回目。
今後も感染症との戦いが続く中、どのような対策や戦略が求められるのか。

デジタル化では民間を活用すべき

――日本の感染症対策としてこれから必要なことは何でしょうか。例えば、保健所などの人材を強化しておく必要があるということでしょうか。

それらは非常に重要だ。今まで保健所を含め、感染症対策に貢献する機関は経費削減で職員も減らされてきたようだ。今後も新たな感染症は出てくるだろうし、自然災害やテロなどの緊急事態の可能性もある。そのため感染症流行を含む健康危機管理全体を考えて、どのような人材とスキルが必要なのか、現在の体制をいかに改善すべきかなどを、しっかり計画する必要がある。

平時から人材を増やすことが難しいのであれば、他の余裕のある地域や国から支援を派遣する、普段はほかの仕事をしている人に非常時のための訓練をしておくなど、サージキャパシティの方策を準備することだ。私がユニセフで働いていた時は、実際に世界でさまざまな緊急事態が起こっていたので、地域、国、国際レベルで協力することでサージキャパシティを常に準備していた。計画だけでなく、シミュレーションでの訓練も重要だ。

産学官民の連携・協力も重要だ。この重要性は誰もがわかっていながら、世界的に見て日本ではあまり進んでいない印象を受ける。例えば、『新型コロナ対応民間臨時調査会』の報告書にもあるが、新型コロナ対策へのITの導入に市民の技術協力、いわゆるシビックテックの活用がうまくできなかった。

今後、社会課題の解決に産学民をいかに取り込むか、というより、それを主流にするべく、そのためのメカニズムを作る必要がある。社会課題の解決を官に任せるのでなく、民間企業、市民社会、アカデミアなどがより積極的に、むしろ主体となって解決することも必要だ。

今回、コロナ対策における世界のIT活用を見ると、日本のデジタル化がいかに遅れているかが浮き彫りになった。グローバルファンドでは世界70カ国以上の低中所得国への保健医療情報システム導入・拡大への支援を行っているが、初めから完璧なシステムを導入するのでなく、オープンソースでできるだけ単純でわかりやすいものをまずは導入する。それぞれの国で必要に応じてそれをカスタマイズし、他のシステムとつなげ、ユーザーの声を反映させながら進化・発展させていく。