ノーベル平和賞の裏側で何が行われているのか?(ゲイル・ルンデスタッド 著/李 敬史 訳/彩図社/2400円+税/479ページ)
[Profile]Geir Lundestad ノルウェー・ノーベル研究所の所長およびノーベル委員会の事務局長として、1990年から2014年までの25年間在任。歴史学の教授として、主に冷戦期の米国と西ヨーロッパの関係に焦点を当てた研究を行っている。

カール・フォン・オシエツキーの名前を知っている人が今、どれほどいるだろうか。彼は1935年にノーベル平和賞を受賞したドイツのジャーナリストで、当時のヒトラー政権が受賞に猛反発したことで知られる。ノーベル平和賞の選定理由は時に物議を醸す。激しい議論を呼ぶのは、この賞の注目度の高さの裏返しでもあるだろう。

1901年に創設されたノーベル平和賞は「世界で最も栄誉ある賞」といわれる。毎年10月初旬にノルウェー・ノーベル委員会が発表する名前には世界の注目が集まる。

だが、考えてみると不思議な話ではないか。毎年の受賞者を決めるのは、私たちが名前も知らないわずか5人のノルウェー人委員なのだ。にもかかわらず、ひとたび受賞者の名前が発表されるや、時には歴史を動かすようなインパクトをもたらす。ノルウェーは人口が世界の0.1%にも満たない国だが、ノーベル平和賞によってその規模からは想像できないほどの国際的影響力を持っているのである。